事件

【髪を洗わせろ】フェティシズムに取り憑かれた殺人鬼ルイジ・ロンギ

あなたは特定の物や部位にフェチをお持ちでしょうか。

「脚フェチ」「うなじフェチ」等、現在の日本では「〇〇フェチ」を自称する事も多くなってきていますが、こうした性的倒錯によって日常生活に支障をきたしている人が居るのも事実です。

今回は特殊性癖に支配された男性ルイジ・ロンギが引き起こした凶行についてご紹介します。

参考文献

現代殺人百科新装版 [ コリン・ウィルソン ]
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ルイジ・ロンギとは

広大な大地が広がるスイスの田園風景

ルイジ・ロンギは、1954年生まれのイタリア系スイス人です。

ロンギは16歳の頃に分裂病を発症し、7年間精神病患者として身柄を拘束されていましたが、1977年、生まれ育ったスイスを国外追放されてしまいます。

その後、ロンギはデンマークへ移り住みトラックの運転手をして何とか生計を立てていました。

ロンギには女性の髪の毛に対してフェティシズムを持っており、この性的嗜好が彼の人生を狂わせる事となります。

フェティシズム(性的倒錯)について

モノクロのノイズの中に伸びる女性の脚とピンヒール

「〇〇フェチ」等のように現在の日本においてはポップに使われる事が多いフェティシズムですが、精神医学的な観点では少し意味合いが異なります。

フェティシズムは、精神医学で「性的倒錯」という意味合いで使われる事が多く、性的興奮を得るために無生物を好んで用いる人の事をいいます。

フェティシズム障害は、無生物を使ったり、性器以外の体の部分(足など)に執着したりして繰り返し強い性的興奮を覚えることで、多大な苦痛が生じているか、日常的な役割を果たすのに大きな支障をきたしているか、または他者に危害を及ぼしているかその可能性がある状態です。

引用:MSDマニュアル家庭版

フェティシズムのある人で日常生活に影響を及ぼす事はほとんどありませんが、時に性的対象の必要性を強く感じ、それ以外に無関心になってしまうケースもあります。

ルイジ・ロンギは女性の髪の毛を洗う事でしか性的快感を得られない性的倒錯者でした。

ルイジ・ロンギの洗髪欲求

白背景に映える色とりどりのシャンプー

健全な男児が性的欲求に目覚め始める10歳の頃、美容院からカツラとシャンプーの瓶を盗んだ事で女性の髪の毛を洗う事に対するフェティシズムに目覚めました。

1977年に国外通報されてからはデンマークでトラックの運転手をしていましたが、青年期に患った精神では中々社会に馴染む事が出来ず、仕事はあまり長続きしなかったといいます。

若い女性に汽車代と引換に洗髪を要求する

バラで彩られた赤毛の女性

そんなロンギが病んだ精神に鞭打ってまで仕事に励むのには、食い扶持を確保する他にもう一つ目的がありました。

女性の髪を洗う事です。

ロンギは雇い主から給料を受け取るとすぐに好みの女性を捕まえては

ロンギ
ロンギ
お金は払うから髪を洗わせてくれ。

そう懇願しました。

特によく使った手口はヒッチハイカーを目的地へ連れて行く代わりに髪の毛を洗わせてもらう等価交換で、この条件を受け入れた女性は12人にのぼったと言われています。

欲求を抑えられないルイジ・ロンギ

ドライヤーから吹く風になびくブラウンの髪

ロンギは女性ヒッチハイカーを拾っては髪の毛を洗うという事で性的欲求を満たしていました。

西ドイツからやってきたヒッチハイカーのハイケ・フライハイトにも、汽車代を負担する条件としてシャンプーを提案しています。

フライハイトは、ロンギの提示条件を快く受け入れ、彼の家で洗髪してもらいました。

シャンプーの後、フライハイトは眠りこけてしまうのですが、そこでロンギにとある欲求が芽生えたのです。

ロンギ
ロンギ
もう一度シャンプーをしたい。

と。

明らかに契約違反な欲求。ロンギもそれは自覚していたようで、フライハイトは二度目の洗髪を受け入れてはくれないだろうと予想していました。

しかし、どうしてもフライハイトの髪の毛を洗いたいと考えたロンギは、彼女に猿轡を噛ませ拘束した状態で再度の洗髪に踏み切ります。

激しく抵抗するフライハイトを洗髪場へ引きずっていき、ロンギは思う存分シャンプーを楽しみました。

目の前にある愛しい髪の毛を手に包み、愛撫するたびに自身の下半身が熱くなるのを感じました。

途中、シャンプーが切れてしまいましたが、まだ洗い足りないロンギはドレッシングやカッテージチーズ等を用いて髪を洗い続けたのです。

いよいよ洗髪出来るものがなくなると、今度はフライハイトの服を引き裂き、女性の裸を観察して楽しみましたが、激しく抵抗するフライハイトを大人しくさせようと思い切り首を絞めたところ、彼女は動かなくなってしまいました。

ルイジ・ロンギが人の命を奪った瞬間でした。

事件の発覚

闇夜に浮かび上がる枯れ木のシルエット

フライハイトが絶命したのを確認したロンギは激しく動揺しました。

自身の凶行が露呈するのを恐れたロンギは、フライハイトを自宅の壁の裏に押し込んで隠す事にします。

しかし、この隠蔽工作はロンギが部屋を引き払って引っ越した途端に発覚してしまいます。

ロンギはこの工作を隠し通すためにフライハイトの遺体と一生添い遂げるという、あまりにも大きな枷を引きずるハメになりました。

この時の状況をロンギは

僕は自分でやったことで自分の牢屋の囚人になりました。

引用:20世紀名言集大犯罪者篇 140ページ

こう語っています。

事件から9ヶ月が経ち、ロンギの隠蔽工作は上手くいったかのように思えました。

しかし、ロンギ宅の屋根の修繕をするために職人が訪れた事で、彼の凶行は白日の元にさらされる事となります。

職人はロンギの自宅に隠されていたフライハイトの遺体を発見し、ロンギは警察に拘束される事になりました。

裁判所で述べたルイジ・ロンギの主張

天秤とハンマー

事件発覚後、裁判にかけられたルイジ・ロンギは、上記で述べた供述とともに「殺すつもりはなかった」のだと主張しました。

ロンギは、フライハイトの激しい抵抗を沈めるため、彼女の首に首輪をかけて引っ張ったところ窒息死してしまったのだと言います。

そのため、フライハイトの死は殺人ではなく事故だったのだというのが、ロンギの主張でした。

余談ではありますが、ルイジは女性の髪の毛を洗う事でした性的興奮を得られなかったため、裁判にかけられた29歳になるまで女性との性行為を経験した事がなかったと言います。

これまでのルイジの生い立ちやフェティシズムに支配されてきた経緯を鑑みると、ルイジが法廷で話した「殺すつもりはなかった」という主張は本心からの供述ではないかと感じます。

1983年3月11日、ルイジ・ロンギの凶行は裁判の結果「殺意なき殺人」と判断され、刑務所での服役ではなく精神病院での無期限拘束を言い渡されました。

人はフェティシズム(性的倒錯)に狂わされる可能性を十分に秘めている

夕陽の光に透ける女性の髪

女性の髪を洗いたい--。

今回は激しすぎる性的倒錯に人生を支配されたルイジ・ロンギについてご紹介しました。

冒頭でも少し触れましたが、現在の日本ではフェティシズムを持つ事によって日常生活に苦痛を感じたり、性生活に支障をきたすという事はあまりありません。

しかし、ルイジ・ロンギのように強烈な性的倒錯を抱えている場合、破壊的になってしまったり、性的機能に影響を及ぼしてしまったりする可能性は十分に秘めています。

ルイジ・ロンギが引き起こした事件は世界的に見ても珍しい事例だと感じていますが、フェティシズムに対する認識を改める良い事例になるのではないでしょうか。

参考文献

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