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深い穴に落ちてしまった|極限状態の兄弟が狂っていく様をスペイン作家が描く

モモカム
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どうも、お世話様です。モモカムです!

私モモカムは本が好きです。色々読みますが、主に読むのは児童書だったりファンタジーが多いです。

今回はスペインの寓話小説『深い穴に落ちてしまった』をご紹介します。本作は、タイトル通り深い穴に落ちてしまった大きい体の兄と小さな弟が、少しずつ精神を蝕まれていくお話です。

深い穴に落ちてしまった【電子書籍】[ イバン・レピラ ]
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『深い穴に落ちてしまった』作品情報

作品情報
  • 作者:イバン・レピラ(訳:白川貴子)
  • 発行日:2017年1月20日
  • 出版社:東京創元社
  • ページ数:125ページ

作者イバン・レピラはスペイン出身の作家

1978年、スペイン出身の作家です。作家としてデビューする前は広告や編集等の仕事に就いていました。

デビュー作は2012年に出版された「Una comedia canalla」。今回ご紹介する『深い穴に落ちてしまった』はイバン・レピラの2作目の本になります。『深い穴に落ちてしまった』はスペインやイギリスで高い評価を得ていて映画化も決定しているとか……。

2作目で映画化が決定するほどの名作を発表するなんてすごいですよね。デビュー作の方も気になってしまいます。和訳されていないのが残念……!

『深い穴に落ちてしまった』登場人物

深い穴に落ちてしまった』は2人の人物によって物語が展開されていきます。「体の大きな兄」と「小さな弟」です。この2人は生い立ちや人間関係、挙げ句の果てには年齢、名前すら明らかになっていません。

作中でも「兄」「弟」として紹介されています。「兄」は粗暴な気質があるものの、リーダーシップがあり弟思いです。体も大きく気が強いです。「弟」は体が小さく、喧嘩では兄に敵いません。気弱で頼りない弟は、兄の指示に強引に従わされる事が多々あります。

『深い穴に落ちてしまった』の作中で明かされている登場人物の性質は本当にコレくらいです。必要最低限の情報しかないですが、そのおかげでストーリーに集中できるのかと思いました。

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【やんわりネタバレ】深い穴に落ちてしまった兄弟はどうなる?

『深い穴に落ちてしまった』では、2人の兄弟が作中冒頭で深さ7mの深い穴に落ちてしまう場面からスタートします。当初2人の兄弟が持っていたのはパンやチーズが入った食料袋。しかし、兄はこの食料に手をつける事を許しませんでした

穴の中にあるのは、わずかな木の根っこと虫だけ。飲み水すら無いのです。彼らは深い穴の中にある僅かな食料を食べて生活する事を決めました。

深い穴での生活を余儀なくされた2人の兄弟が穴の中で生き延びるために取った行動とは一体なんなのでしょうか? 少しだけご紹介しますね。

兄弟で脱出方法を計画

深い穴に落ちてしまったからには、穴から脱出しなくてはいけません。兄が主導となって脱出計画を練ります。

最初に考えたのは、体の大きな兄が小さくて軽い弟を穴の外へ放り投げる方法。弟が脱出に成功したら、兄は弟に引き上げてもらう寸法です。

しかしこの計画はあえなく失敗……。弟は何本か歯を折ってしまいました。兄弟はより慎重に計画を練る事にしました。

その間の食事は、穴の中に落ちていた木の根っこと虫だけです。想像するだけで寒気がするような生活ですね。

徐々に精神を蝕まれていく兄弟

兄弟は穴の中にある根っこや虫を食べて口に糊する生活をスタートさせました。しかし、根っこや虫も無限に湧いて出る訳ではなく、兄弟2人がお腹いっぱい食べられるほどの量はありません。

兄が脱出のために奮闘する中、弟は体力を温存するために一日中横になる事を強いられました。排泄は2人で決めた場所でしなくてはなりません。

極めて不潔な環境、そして不十分な食生活。精神状態が破綻する事は火を見るより明らかでした。

極限状態の生活を強いられてしばらく経った頃、弟の精神が少しずつ蝕まれていきました。

弟は「自分はアッチラ大王の馬を盗んだ」とか「明日はラテン語で叫ぼう」だとか、徐々に支離滅裂な事を言うようになっていき、最後には言語を話す事ができなくなりました。

「だんぐのあてさだ! だんぐがまほろみ!」

引用元:『深い穴に落ちてしまった』 Kindle版-位置ロケーション538

弟はまともな言語を話しているつもりなのですが、兄には上記のように聞こえてしまう訳です。弟から意味不明な話を聞かされていた兄は、なぜか弟の話す言葉が面白くなり大笑い。

急に話せなくなった弟を愉快に感じる兄の精神状態も、かなり限界に近かったのかなと思います。

『深い穴に落ちてしまった』には暗号が隠されてる?

そもそも2人の兄弟は何で深い穴に落ちてしまったのでしょうか? 2人が落ちた深い穴は森の中にある湖の近くにあるようですが、いくら足場が悪かったとしても7mもの深い穴があれば気づくはずですよね。

深い穴に落ちてしまった後、2人の兄弟が食べ物の袋に一切手を付けなかったのも謎です。

2人が深い穴に落ちてしまった事や食べ物に手を付けない理由は、作中で一切触れられずに進行していきます。しかし、物語が佳境に差し掛かる時、その理由が明らかになりました。背筋も凍るような事実でした。

真相については『深い穴に落ちてしまった』で是非ご確認くださいね。

そして『深い穴に落ちてしまった』では、弟が意味深な言葉を残しています。

数字にはひとつひとつ、対応する言葉があるから、そのうちに数字だけでものが言えるようになるんだよ

引用元:『深い穴に落ちてしまった』 Kindle版-位置ロケーション491

あぁ、また弟が意味わからん事言ってる……。

今までの弟を知っていればそう感じるような内容ですが、この言葉は『深い穴に落ちてしまった』に隠された暗号を解くためのヒントだと言われています。

『深い穴に落ちてしまった』の翻訳を担当した白川貴子さんは、日本語版でも暗号を解読出来るようにしてくれているそうです。しかし、この暗号がとにかく難解で解読出来ずにギブアップされる方が沢山おられました。

暗号の解読方法とは?

弟は、『深い穴に落ちてしまった』の作中でこのような発言をしています。

「きゅうじゅうなな、にじゅうろく、さんじゅうに。はちじゅうきゅう、ひゃくじゅう、に。さんじゅうなな、いち、はち。ろくじゅういち、よんじゅうさん、さんじゅうよん。ろくじゅういち、にじゅうきゅう、にじゅういち」

引用元:『深い穴に落ちてしまった』 Kindle版-位置ロケーション932

弟は「数字にはひとつひとつ対応する言葉がある」とも発言していました。暗号解読の鍵はこの2つの発言に隠されているのかと思います。

そこで、弟が列挙した「きゅうじゅうなな……」の発言を数字に変換してみる事にしました。それを句点(。)ごとに区切ってみるとこうなります。

数字一覧
  • 97,26,32
  • 89,110,2
  • 37,1,8
  • 61,43,34
  • 61,29,21

改めて見てみると数字が3つずつグループ分けされているのが分かりますね。この3つの数字を今度はこのように割り当ててみましょう。

割り当て表
  • 1番目の数字・・・ページ数
  • 2番目の数字・・・行数
  • 3番目の数字・・・文字数

1番目の「97,26,32」なら、97ページの26行目、32文字目~という具合で当てはめていく要領ですね。このようにそれぞれの数字を当てはめていくと、1つの文が見えてきます。

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この解読方法が正解だという確証はありませんが、私はコレが正解かな~?? と感じました。違う解読方法を見つけられた方は教えてくれると嬉しいです!

まとめ

今回はちょっと趣向を変えて、私の好きな書籍をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。『深い穴に落ちてしまった』の暗号を解読出来るように翻訳した白川貴子さんの腕前には頭が下がります。

『深い穴に落ちてしまった』は、兄弟が少しずつ狂っていく描写がとてもリアルで引き込まれます。暗号抜きでも楽しめる作品だと思いますので、怖い童話や難解で意味深なお話が好きな方にオススメしたいです。

『深い穴に落ちてしまった』で、モモカムと違う解読方法を思いついた方はお問い合わせフォームから解読方法をシェアしてくださると嬉しいです!

深い穴に落ちてしまった【電子書籍】[ イバン・レピラ ]
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