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【オーバーキル】かすっただけで激痛が2年間続く毒草ギンピーギンピー

つくしやワラビなど、スーパーへ買い物に行かなくても十分食用になる野草はそこかしこに生えているものです。

しかし、中には強い毒性を持ち、食用には向かない野草やキノコが存在するのもまた事実。

今回ご紹介するギンピーギンピーという植物は、世界でも五本の指に入るほど強力な神経毒を持つ野草です。

ギンピーギンピーの毒が体内に入り込むと人体にどのような影響が見られるのでしょうか。

さっそくご紹介していきます。

ギンピーギンピーとは

自生するギンピーギンピーの葉引用:Wikipedia

ギンピーギンピーは、オーストラリア原産の植物でイラクサ科イラノキ属に分類されます。

イラクサ科には毒を持つ植物が多くあり、ギンピーギンピーも例外なく葉や茎に強い毒性が含まれています。

英語で「stinger(刺す者)」と呼ばれている事からも分かるように、ギンピーギンピーの葉や枝には無数の刺毛が生えており、これに刺される事で毒が体内に入り込むという仕組みです。

英語の表記からも、人々がギンピーギンピーをどれだけ恐れていたか分かりますね。

ギンピーギンピーの毒は人間にとって非常に有毒で、ひとたび毒に侵されると自ら命を断ちたくなるほど強い激痛に襲われるため、見つけても近づいたり触れたりしないようにする事が大切。

ギンピーギンピーの葉は約20cmほどと大型で、植物自体も2mを超えるほどの高さにまで成長する大型の植物ですが、この特徴を除くと一見無害な植物に見えてしまうため、素人にとってギンピーギンピーを見分ける事は非常に困難です。

ギンピーギンピーに触れるとどうなるのか

コウモリのラベルが貼られた毒瓶

ギンピーギンピーは、葉や茎に触れるだけでなく、刺毛を吸引するだけでも症状が現れます。ギンピーギンピーが持つ毒は極めて強力な神経毒で、この毒が体内に取り込まれると激しい痛みに襲われます。

この痛みは「酸をスプレーされたような痛み」が2~3日間続き、その後は数ヶ月~数年に渡って眠れないほどの痛みがしつこく続きます。

しかし、オーストラリアに生息するアカシアヤブワラビーなどはギンピーギンピーの毒を受け付けず、神経毒をものともせずに食す事が可能です。

アカシアヤブワラビー以外にもギンピーギンピーの神経毒に耐性を持つ動物や虫も複数種類確認されています。

ギンピーギンピーに触れてしまった時の治療法

プレパラートを覗き込む顕微鏡のレンズ

ギンピーギンピーの毒が体内に入ってしまった場合、ワックス脱毛で刺毛ごとすべて除去するか、10倍に薄めた塩酸を塗布する事で治療する事が出来ます。

また、ワックス脱毛や塩酸で治療を行った後はステロイド系の軟膏で処置をする必要があります。

どちらも手元にない場合は、ガムテープやピンセットで刺毛を強引に抜き取る事で効果が期待出来ます。

しかし、刺さっている刺毛が破損してしまった場合、刺がさらに深く食い込む事になり症状が悪化してしまう原因になります。

さらに、上記で推奨されている脱毛ワックスや塩酸での治療も刺毛が破損しないという保証がないため、ギンピーギンピーを見つけたら近づかずにその場を離れるのがもっとも確実な対処法だと言えますね。

ギンピーギンピーによる被害実例

小瓶に入れられた緑色の毒薬

ギンピーギンピーの研究をしていたマリナ・ハーリーという研究者がいました。

ハーリーは防護服を来てギンピーギンピーの研究に明け暮れていたのですが、空中に舞っているギンピーギンピーの刺毛を吸引してしまい、アレルギー反応に悩まされるようになります。

最初はくしゃみに始まり、次第に催涙など徐々にハーリーの体はギンピーギンピーの毒に犯されていきました。

ハーリーは、最終的に入院が必要になりステロイド剤による治療が必要になるほど悪化してしまたのです。

第二次世界大戦中、ギンピーギンピーは兵器転用が検討されていた

大地に浮かび上がる巨大なキノコ雲

第二次世界大戦中、イギリス軍はギンピーギンピーに含まれる強力な神経毒と持続性に目を付け、軍事兵器として転用出来ないか検討していました。

結局、ギンピーギンピーは兵器として活用される事はありませんでしたが、万が一軍事兵器への開発が進んでいた場合、第二次世界大戦の戦況は変わっていたのかとても気になります。

ギンピーギンピーの神経毒は最長2年ほど持続すると言われていますので、終戦後にギンピーギンピーの後遺症に悩まされる人が多発し、健康被害に対する保証など国家間でややこしい揉め事が発生していたのではないかと思います。

編集後記

破損したガラスの中で息づく樹木

今回はオーバーキルすぎる神経毒を持つ植物「ギンピーギンピー」についてご紹介しました。

ギンピーギンピーには赤い実がなるようで、毒のある刺毛を完全に除去出来れば食用にもなるようなのですが、刺毛の除去が不十分だった場合はやはり神経毒に侵されてしまいます。

ギンピーギンピーの毒によるリスクを考えると、実を食べるのはかなり抵抗があるのですが、海外の方がふぐを食べるのに躊躇するように、現地の人にとってはポピュラーな食材だったりするのでしょうかね。

ギンピーギンピーの実が広く食されているようなら、どんな味なのか、どんな料理に使用されるのか気になります。